お通夜・告別式に贈るお花について

お通夜・告別式に贈るお花について

大切な人との、悲しいお別れの知らせを受けたとき。お通夜や告別式のために、お花を贈ろうという機会があると思います。今回は、そんな時に思い出していただきたい意外と知られていないポイントを、花屋の目線でお伝えします。

お通夜

まず、大きな前提として、ホールなどの斎場に飾るお花はすべて斎場が用意します。お通夜や告別式の案内を受け取られることがあれば、お花については斎場に直接依頼をしてください。他の花屋で用意したお花を持っていく、他の花屋からお花を届けるということはしないのが原則で、お供物やお線香についても同様です。

理由はいくつかありますが、まず第一に、お通夜や告別式は、会場全体の調和に敬意をはらう場だということです。斎場に飾るお花の種類や色合いは、喪主様と斎場が話し合ってきちんと決められています。そこに違うところのお花が入ると、どんなにすてきなお花であっても、それだけ浮いてしまうということが多々あるものです。斎場のお花の作り方は、やはり一般のアレンジメントとは異なるところも多く、斎場で案内されているのと同じくらいの金額のアレンジメントを用意したとしても、かなり小さく見えてしまうことが多いです。立て札についても、どうしても斎場と同じ大きさや形に作ることはできず、立て札のないお花も逆に目立ってしまいます。

葬儀・祭壇

また、お通夜や告別式は、ご遺族様に余計な心配をかけないよう、かなりきっちりと設営の手順があるため、お花を飾ることのできる時間というのも限られています。とくに当店のように、宅配便でのお届けをするお花については、一般の宅配便の時間指定をすることしかできないため、斎場の指定する時間にお届けすることはかなり難しくなります。たとえば、斎場側に「13時に持ってきてほしい」という段取りがあっても、「午前中」「14時から16時」という区切りの時間指定であれば、段取りに適ったお届けをすることができません。また、宅配便全般において、時間指定はお届け時間を保証するものではないので、時間の行き違いで当日お花を飾ることができないという場合も十分考えられます。

あわせて、斎場側としてもイレギュラーな対応となってしまうため、お花に対して持ち込み料がかかってしまうことが多いです。基本的にはお花を持って行った際に持って行った人がお支払いすることになり、先の宅配便の事例では、宅配業者はその場で建て替えて支払うということはできません。また、近くの花屋に依頼して届けるとしても、商品代金ではないお金の授受が発生してしまうため、対応が難しいことが多くなります。最終的にその持ち込み料の受け渡しがうまくいかなかった場合、斎場から喪主様に対して持ち込み料が請求されてしまうという場合もあります。斎場側としては、持ち込み料がかかるのが原則であるため、お花を持ち込んでいいかどうかの確認をしたとしても、こちらからたずねないかぎり、持ち込み料についての案内がないこともあります。

ここまでのお話のような理由から、お通夜・告別式に贈るお花は、斎場に依頼することをおすすめします。

それでも、大切な気持ちを伝えるために、ご自身で心を込めて選んだお花を贈ることは、贈り主にとっても、お相手のご家族にとっても、本当にあたたかく心癒されることだと思います。

そんなときは、思い出のあるご自宅へお花を贈られてはいかがでしょうか。お通夜や告別式が行われる時期には、お家を空けることも多いでしょうから、1週間や10日ほど経って一段落した頃、ふっと張り詰めた気持ちが解けるような時期に、優しいお花が届くといいかもしれません。

49日までに贈るなら、「白上がり」と言われる白、または白とグリーンのみの色合いのお花を。もう少し時間が経っていれば、お相手の方のイメージや、お好きな色合いを少し入れるのも気持ちが伝わります。たくさんお花が届くことも考えられますから、花瓶を用意しなくてもいいアレンジメントやスタンディングブーケがおすすめです。小さなメッセージカードをつけてもいいですし、お手紙は便箋や封筒を選んで、別で送られてもいいでしょう。

悲しみのお花は、残された人たちの心を癒し、慰めるために贈るもの。どこへ贈るか、どんなものを贈るかということだけでなく、どんな気持ちを届けるかということを大切に、わたしたちは花屋として、お花でお手伝いをさせていただければと思います。あなたが人のことを思い、やさしい気持ちで選んだお花は、きっとお相手の心に届くはずです。

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