金木犀のおはなし

金木犀のお話

秋の道を歩いていると、お花の香りにふと気づくことがあります。

そんなときに周りを見回すと、街路樹や庭木にキンモクセイを見つけることが多いのではないでしょうか。思えば、姿よりも先に香りに気づくことができるお花は、そこまで多くありません。

キンモクセイはその代表のひとつですね。

お花の姿もとてもかわいらしく、オレンジのような黄色のような、ぱっと明るい色が秋の彩り
としても目を楽しませてくれます。夏にくらべて日が短くなる季節ではありますが、そんな時こそ、まるで内側から光っているようなキンモクセイ色は本当に目をひきます。

ちょっと早めのイルミネーションのようでしょうか。

漢字で書くと「金木犀」。「金」はなるほど、きっとお花の色でしょう。

「木」もそのままわか りやすいですが、「犀」という難しい漢字はなんでしょうか?
答えは、動物の「サイ」という字です。角が特徴的な、大きなあの子です。
どうして?お花とサイに似ているところがあるかしら……と、もう少し調べますと、キンモクセイの幹に注目してこの字が選ばれたそうです。

ぱりっとした感じの樹皮が、サイの身体の表面の質感によく似ているのだとか。
なるほど、お花と葉っぱには目がいくけれども、幹にまで注目したことはほとんどありませんでした。
今度キンモクセイの香りを見つけたら、そっと近くに行って、幹のようすも少し見てみてもいいかもしれません。

ところで、お花の色の「金」はうなづけると先ほど書きましたが、
「ギンモクセイ」もあることをご存知でしょうか。漢字で書くと、もちろん「銀木犀」。

そして、きっとたくさんのみなさま の予想通り、白いお花をつけます。

香りもありますが、キンモクセイほど強くはなく、近づいて香りがわかる程度といわれています。

じつはギンモクセイのほうが先にあった品種で、その変種がキンモクセイだということです。

最近では、キンモクセイをイメージした商品もたくさん見かけるようになりました。

ハンドクリームや石鹸など、あの香りをいつも身近に置いておきたいという気持ち、心からよくわかります。

たいていパッケージにもかわいいお花の絵が描いてあって、キンモクセイグッズをひとつバッグに忍ばせておけば、いつでも元気がもらえそうですよね。

中国茶の世界では、キンモクセイのお花 を乾燥させた「桂花茶」が人気で、そのまま煎じて飲んだり、ウーロン茶の香りづけにしたりすることもあるそうです。

秋の香りを思い思いに味わって、季節を楽しむ気持ちを大切にしたいものですね。

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